眼内コンタクトレンズ(ICL・IPCL)

角膜を削らない近視矯正手術

眼内コンタクトレンズ手術は従来のレーシック治療と異なり、角膜を削らずに目にやさしい生体適合性の高いソフトコンタクトレンズのような柔らかく無色透明のレンズを目の中に入れて視力を矯正する方法です。当クリニックではICL(Implantable Collamer Lens)とIPCL(Implantable Phakic Contact Lens)の2種類の眼内コンタクトレンズを取り扱っています。有害な紫外線をカットし、半永久的に使用可能です。ずっとお手入れは不要で、万一の場合でも、レンズを取り出し元の状態に戻すことができます。通常、手術時間は片眼15分程で日帰り手術が可能です。

ICLについて

ICLはSTAAR 社によって開発された後房型の有水晶体眼内レンズです。1997年にヨーロッパCEマーク(安全性)を取得し、全世界で100万件以上の実績があります。日本では2003年より治験が開始され、2010年2月に厚生労働省で認可されました。2014年には光学部中央に孔のあいたHole ICL(KS-AquaPORT®)が発売されました。ICLはHEMAとコラーゲンの共重合体素材コラマー(Collamer )で作られています。コラマーはタンパク質などの粒子が沈着せず長期にわたって眼内で安定する、非常に生体適合性の良い素材です。

IPCLについて

IPCLはEyeOL社から2014年に発売開始された新しい後房型の有水晶体眼内レンズです。2017年にヨーロッパにてCEマーク(安全性)を取得し、全世界40カ国以上で10万件以上の実績があります。日本では2015年より使用実績があります。IPCLは「ハイブリット親水性アクリル」で作られています。ハイブリット素材を採用したことにより、タンパク質などの粒子が付着しにくく「エクセレントクリアーサーフェイス」という新しい技術により、コラマー素材よりもレンズの表面構造がスムーズでクリアなため、見え方の質が高いことが証明されています。眼内でレンズを安定して固定するため6つの支持部(ICLは4つ)をもつ構造をしており、さらに房水の循環を促進する7つのホール(ICLは1つのみ)が設置され、白内障や緑内障の発症予防に配慮され安全性を向上させています。IPCLには40才以上の老眼用として多焦点IPCLもあります。

ICL・IPCL手術

レーシックと比較した眼内コンタクトレンズ手術のメリット・デメリット

メリット

  • レーシックでは矯正できない強度近視や乱視の強い方、角膜が薄い方でも治療が可能です。
  • 目に合わなければ、取り出して元の状態に戻すことが可能です。
  • ドライアイの原因になりにくい。
  • 将来の白内障手術にほとんど影響しない。

デメリット

  • レーシックに比べて費用が高い。

手術の流れについて


①適応検査
目の状態を診て手術が可能かどうか検査をします。検査の前にソフトコンタクトを装用している方は1週間、乱視用のソフトコンタクトの方は2週間、ハードコンタクトの方は3週間の中止が必要です。適応検査は1,000円(税別)になります。
②スケジュールの決定
適応検査で手術可能と判断されれば、再度、手術のご希望を確認し精密検査・手術の予定をします。
③精密検査
詳しい検査を2回程おこない、患者様一人一人にあった眼内コンタクトレンズの発注をします。
④手術
火曜日は午後、木曜日は午前から手術になります。

ICL・IPCLの費用

健康保険が適用されない保険外診療です。レーシック等と同様に全額自費となります。ただし、ご自身が加入されている民間の保険によっては医療保険が適用される場合がありますので、「有水晶体眼内レンズ挿入術」が対象かどうか、ご加入の保険会社へお問い合わせ下さい。

片眼 ICL・IPCL(乱視なし) 33万円(税別) ICL・IPCL(乱視あり) 38万円(税別) 

両眼 ICL・IPCL(乱視なし) 65万円(税別) ICL・IPCL(乱視あり) 75万円(税別) 

※上記費用には術前精密検査費用、手術費用、レンズ費用と術後1年間の診察・お薬代のすべてが含まれています。片眼ICL・IPCL(乱視なし)、他眼ICL・IPCL(乱視あり)の両眼手術の場合でも合計金額から1万円引きになります。

FAQ よくあるお問い合わせ

Q1. 手術は痛いですか?

A1. 目薬タイプの点眼麻酔をしますので痛みはほとんどありません。

Q2.安全性はどうですか?

A2.眼内コンタクトレンズはレーシックが最初に報告された1990年よりも古く、1980年代に開発がおこなわれた歴史のある治療法です。眼内コンタクトレンズは生体適合性の高い素材で出来ており、お手入れは不要で白内障手術が必要な年齢になるまで目の中に入れたままにすることができます。手術に伴うリスクは0ではありませんが、資格のいらないレーシック手術と異なり、眼科医の中でもICL手術はICLの認定を受けた術者しか手術することはできません。

Q3. 眼内コンタクトレンズを入れていることは他人に気が付かれますか?

A3. 虹彩の後ろに挿入するので、外からは見えません。

Q4.費用は公的医療保険の対象ですか?

A4. 公的医療保険の対象ではありませんので、自費治療になります。ただし、ご自身が加入している民間の保険によっては給付の対象となる場合がありますので、「有水晶体眼内レンズ挿入術」が対象かどうか、ご加入の保険会社へお問い合わせ下さい。

Q5.治療を受ける制限はありますか?

A5. 原則21歳以上の方が対象となります。目の形や病気、全身疾患などによっては治療の対象とならない場合があります。事前に詳しい検査を行い、目の形、状態、生活習慣などを総合的に検討して治療が可能かを専門の医師が診断を致します。また正確な検査のためにコンタクトレンズ(特にハードレンズ)は一定の期間装用を中止していただく必要があります。妊娠中、授乳中は視力が不安定になることがあり近視矯正手術はできません。

Q6. 老眼も治りますか?

 A6. 40歳頃から加齢に伴う調節力の衰えにより「手元が見にくい」と言った老眼の症状が出始めます。老眼は遠近のピントを合わせ る能力が衰える症状です。従来の眼内コンタクトレンズであるICLでは老眼の治療はできませんでしたが、新しい眼内コンタクトレ ンズであるIPCLには多焦点眼内コンタクトレンズがあり、40歳以上で老眼により手元が見にくい場合は使用することで老眼の症状を 改善することが出来ます。

Q7. 「ハロー」・ 「グレア」とはなんですか?

A7. 暗いところで明るいライトなどを見た時に光の周りににじんだ輪が見える現象をハロー(光輪症)といい、ギラギラと光ってとても眩しい症状をグレアといいます。症状の度合いや期間には個人差がありますが、治療後数ヶ月で自然と気にならなくなることが一般的です。